Way of Life
西本有紀子
フリーランスでヨガのインストラクターとして活躍しながら、2人のお子さんの子育てを両立するM_ ブランドコミュニケーターの有紀子さん。今回は、彼女が日々ヨガを伝える場である『Date..WORKSHOP STUDIO』とご自宅のある広島へ伺い、一人の女性として、母としての視点で、今感じている衣食住への想いをお話し下さいました。
有紀子さんの暮らしについてお伺いさせてください。
ヨガのインストラクターをしています。インストラクターになったのは3年半前で、今年からフリーランスとして子育てと両立しながら活動しています。
ヨガとの出会いは、下の子を連れて公民館へヨガをしに行ったことがきっかけでした。その時はしっかりとしたアーサナ(ヨーガの座法・体位)をとるというよりは、ストレッチの延長線のようなクラスだったのですが、体を伸ばす気持ちよさと心が解放される感覚に、衝撃を受けました。それと同時に、自分に時間を掛けてあげられていなかったことにも気づきました。
その後すぐにスタジオに通いはじめ、1年ほどして伝える立場になろうと決めました。当時は30代前半でしたが、同世代は働き手の世代なので、きっと自分に時間を掛けられていない人が多いんじゃないか、あるいは、子供がいる人は子育てで忙しく自分を振り返る時間が無いんじゃないかって、自分と同じような立場の女性たちに、ヨガを伝えていく仕事をしたいと思ったんです。
また、これからM_ ブランドコミュニケーターとして、ブランドの魅力をたくさんの人に伝えていく活動をさせて頂くことになりました。
House
現在住んでいるところ、その場所にした理由などを教えてください。
広島に住んでいます。
出身も広島。両親の転勤が多く、小学生から中学生までは大阪で過ごし、高校生になるタイミングで広島に戻りました。その後、高校卒業のタイミングで両親が今度は東京に行くことになったのですが、一人で広島に残りずっと広島に住んでいます。その時、両親は「一緒に東京に行った方が楽しいんじゃないか」と言ったんですけど、わたしは広島がすごく好きだったんですよね。
特に、広島の方言が好きで、今は当たり前に自分も使っていますが、大阪から広島に帰ってきた時に「アイデンティティが見える感じが素敵!おしゃれ!」と感じたんです(笑)人と人との繋がりを深く感じられる自分にとって心地が良い場所です。
現在の自宅は、主人の職場が近い場所で家族4人で暮らしています。目に入るものがカラフルだと元気が出るので、家の中は壁紙が緑、カーテンがピンクと色のあるものを使っています。
長く大切に使っている家具に囲まれていて、特にダイニングテーブルは、10年前に自分と主人で作ったものでもうボロボロなのですが、思い出が深いので、いつか壊れてしまう時まで、大事に使っていきたいと思っています。
家のお手入れには、成長盛りの子供たちの着れなくなった洋服を雑巾として使います。その服を切って掃除していると、色んな出来事が思い出されて、じわ~っと暖かい気持ちになり、部屋も綺麗になるので、日常の中で小さな幸せを感じる時間なんです。
Fashion
今 Fashionに対して感じていることを教えていただけますか?
ファッションは、心から好きと思えるものを見つけて、長く大事にするという幸せにシフトしていく時だと感じています。
ものを購入することは経済活動として大切な事だと思いますが、なんとなくで買って、なんとなく着るという習慣からは離れ、たくさんのものを持つという幸せではなく、拘って選んだものを、長く愛を持って使う時代だと思います。
わたしも、以前は買うことに意義を見出していたんじゃないかというくらい、欲しいと思ったら買って、たくさんの服を持っていたので、家のクローゼットはいっぱいで何を持っているかも把握しきれていないために、同じようなものを新しく買ってしまったり…。どんなに外では着飾って素敵に見えたとしても、こんな状態では、家の中も心も整っていなかったと思います。
ヨガを通して得た学びや、コロナを経験したことで、”持つこと”への執着が薄れ、これまでの生活に一度リセットをかけ、現在は愛着のあるワードローブだけになりました。
それは単にクローゼットがすっきりしていることだけではなく、家の中が整い、心も整うことで生活すべてが整い、”丁寧に暮らす"ということへ繋がっているのだと思います。
これから、Fashionのトレンドや、衣服の役割はどの様に変化していくと思いますか?
時代の流れに沿って、M_のように環境や人に配慮したブランドがもっともっと増えていくと思います。
今こうして生きていている中でも、豪雨などの水害が増えたり、実際に環境の変化を直に感じる機会が増えている中、環境問題を始めとして、なぜそのような事が起こっているのか、裏側にも想いを馳せ、どう行動していこうかと自分事で考える人が増えると思っています。
わたしも、ファッションが生み出す様々な問題を知っていながらも、どうアプローチすれば良いか分からなかった中で、M_に出会いました。デザインにもコンセプトにも惹かれたことはもちろん、負の連鎖に入らないことで幸せを増やし、今の自分の考えを体現してくれるブランドだと感じ、それから意識が大きく変化しました。
ファッションは、着飾る為のものではなくて、着る人の考え方を表現するものに変わっていくと思います。そして、その意志表明が良い連鎖を生んでいくんだと思っています。
Food
食事について、日々気を使っていること、心掛けていることはありますか?
家での食事は、本物の調味料を使うこと、大好きな広島の食材を地産地消するように選んでいます。平均寿命がどんどんと伸びて、私たちの世代は100歳、子供たちの世代は120歳くらいまで生きると言われていますよね。なので、人生の最後まで自分の体で健康に生きられるように家での食事だけは手抜きをせず作るようにしています。
健康を意識することはもちろんですが、その前に、食事は”楽しむこと”が心の栄養にもなると思うので、外食の時には好きな人と好きなものを頂くのが今の心地いいバランスです。
一時期、ストイックになり過ぎてしまい、外食も控え、家でも薄味で無味に近いような食事ばかり出していた時があって。その時家族から、「なんかちょっと違う…」と気を使って言われたことがありました(笑)
いくら健康に気遣った料理でも、食事の楽しみを奪ってしまっているのかもしれないと気づき、自分の中で、過度になりすぎない今のバランスを探るきっかけになりました。
料理をする上では、捨てるものを減らしたいので、お出汁を取り終えた出汁がらと大根の葉っぱで、捨てられてしまうもの同士を掛け合わせて、ふりかけにしたりします。
食事ではないのですが、ヨガの生徒さんに、冬至の柚子風呂で使い終わった柚子の皮をほして、キッチン掃除をするとすごく綺麗になると教えてもらったんですが、洗剤を使わなくてもびっくりするほどピカピカになって。昔の人の知恵を拝借して、最後までしっかりものを使う感覚って気持ちがいいですよね。
日本の食の未来はどの様になっていくと思いますか?
わたしたちが変えようとしなければ、日本の食の安全性も自給率もこのまま危機に向かってしまいます。
まずは自分事として問題に目を向け、知ることが、そんな状況を変える最初の一歩だと思っています。知る事でその食べ物が安全かどうかを判断する基準を培ったり、農家の方の大変さを理解しサポートしようと行動することに繋がりますよね。ひとりひとりが知ることを怠らなければ、日本の未来は明るいと思っています。
そして、これから一番重要なことは、子供たち世代に食について裏側まできちんと伝えていくことだと思います。
SDGsに関しては学校でも授業があり、私たちよりも詳しく知っているかもしれません。畑体験なども学校で行っている所も多いので、きっと野菜の育ち方は知っているし、収穫までどれほど大変かということも理解はしていると思います。でも、野菜がどう育つかは知っていても、土の話をしたり、食品の工場見学に行っても、加工に使われている添加物の話までは教えてもらうことは無いですよね。
どういった食品が安全で、どこで誰が作ったか分からないものを買うのではなく、近所や地元であったり顔の見える農家さんから購入するという行為がなぜ良いのかということまでも、しっかり伝えていく義務が大人にはあると思います。小さいときの教えは影響が大きいと思うので、教育の現場やひとつひとつの家庭の中で、食について知り、伝えていくことが未来を大きく変えていくのだと思います。
Past / Present / Future
この数年間で、自分の意識や関心はどの様に変化していきましたか?
2020年からのコロナ禍を経験し『なんとなくの選択』をしていたり、『他人の物差しで自分を測っていた感覚』から自分を解放してあげたことで、自分に正直に生きられるように変化したんです。
それまでは、周りの人への関心事も、表面的な優劣ばかりが気になっていて、今思えば窮屈に生きていたような気がします。実は、Instagramもやっていなくて、「自分の意見を書くと批判されるんじゃないか…」と怖くて、どんなに周りに勧められてもわたしはやらないと頑なに決めていました。
自分を解放してからは、人と違うことは普通なんだと思うようになり、怖がらずに自分の考え方を示していこうと発信するようになりました。そうしたことで、大切な繋がりとご縁が増え、自分の人生が好転しはじめて良い循環をするようになったと感じます。
ヨガのレッスンも、それまでは、万人受けするような話し方や内容を意識していたのですが、がらりと変えて、わたしが伝えたいことをやりたい方法でやるようになったことで、同じマインドで同じ方向へ向かっていく人達を見つけることができたので、自分らしさを発信することって本当に大切だと感じています。
今、興味のあること、今準備をしていることはありますか?
“ぐるぐる巡らせる” ことに興味を持っています。
今年からフリーランスになって、これまで所属していた大きなスタジオの中だけでなく、いろんな場所に行くようになると、インストラクター同士も生徒さんでも、知り合いの知り合いが繋がり、そこに大きな渦がどんどんと大きくなるのを目の当たりにして、そこにすごく優しくて良いエネルギーが巡っているのを感じたんです。
広島は小さなコミュニティの中で、似た環境・同じ職種・趣味の人が集まるような雰囲気なので、そんな枠を飛び越えて、それまで交わらなかった違った趣味を持っている好みもバラバラの人たちがお互いを尊重しながら集まれる機会があったらいいなと。滞っている気を流して、新しい循環を作るような、そんな”ぐるぐる巡る”イベントをなにかやりたいなと漠然と思っています。
イベント名は”ぐるぐる”でいいかなと思っています(笑)
これから、私たちの暮らしはどの様に変化、進化していくのでしょうか?
理想の未来のヴィジョンなどがあれば、教えていただけますか?
ヨガの哲学の中で、”足るを知る”という言葉があります。カタカナで書くと、”サントーシャ”。
簡単に言うと、『自分は満ち足りていることを知りましょう』という教えで、そのまま受け取ると、今自分が持っているものに気づき、感謝して生きようという解釈になると思います。
ですが、今できる範囲の中だけで努力もせずに、あるがままで良いというのではなく、試練や悩みさえもありがたく受け取って、精一杯に頑張って、紆余曲折を経験したその後、ふと立ち止まった時に自分は実はいろいろなものを持っていたことを知って満たされましょう、という考え方だと私は捉えています。
生きていれば、失敗もあるし、時には人とぶつかる事もあると思います。そういうときに、単にそこでやめてしまうのではなく、大変なことを経験をした後には必ずたどり着くものがあるはず。
自分自身が生きる上でもこの考え方を大事にしていて、ヨガクラスでも自分の子供にも、このサントーシャの考えに基づいて、精一杯生きてほしいという事を伝えています。
哲学というのは、それぞれが自由に受け取れるものだと思いますが、一生懸命に挑戦して生きて、沢山の経験をして、今に感謝し、自分らしい生き方を見つけて実現していく。そんな世の中になれば良いなと思っています。
Style
家の中と同じように、普段は身に着けるものも色を使ったコーディネートが多いのですが、夏だけは自然が豊かになって、世界の景色が鮮やかになるので、シンプルな一色だけのコーディネートを選ぶことが多いです。今回もすべてワンカラーのスタイリングを選ばせて頂きました。
M_を初めて知った時、今の時代に必要なアパレルの形だと感じましたし、着ることで自分の考え方を表現することが出来るブランドだと思います。
わたしが、初めて購入したアイテムは、オーガニックコットンのブラとショーツのセットでした。 幼少期からアトピーをもっていたので特に肌に直接触れるものには敏感で、すぐに痒くなってしまうので、「好きじゃないけど痒くならないから着るもの」、逆に「痒いけど可愛いから着るもの」というような我慢がついてまわる選択をすることが常でした。
でも、M_のアイテムはアトピー肌の私の肌にもやさしくて痒くならないし、デザインも可愛い。そして、環境にも優しい。出会えて本当に良かったと思えるブランドです。なにより、きっとサスティナブルなものづくりをしなくても、すでに多くの人に支持されているMOUSSYという大きなブランドから、ファッションの在り方に一石を投じるブランドを作ったことに感銘を受けました。
自分自身、ファッションを通して意識がここまで変わる経験をこれまでにしたことが無かったので、コミュニケーターとして、まだM_と出会っていない人たちに、ブランドの想いや良さを届けていきたいと思います。
これからも地球に優しいものづくりをするブランドのパイオニアであってほしいです。
ずっと応援しています!
Yukiko Nishimoto
西本 有紀子
ヨガインストラクター・M_ Brand communicator
広島在住・二児の母。アパレルの販売を経験し、結婚を機に退職。
自分以外の人に目を向けることが多くなっていく中で、ヨガに出会い、自分自身と向き合い「私」を強く感じることのできる時間に感動し、ヨガインストラクターとなる。
ヨガを通して、自分らしく生きることや自分を大切にするための方法を日々伝えている。
Instagram https://www.instagram.com/yuki___yoga/
Date..WORKSHOP STUDIO
「今日をゆたかに、人生をたのしむ。」をコンセプトに、ヨガ、ワークショップを開催。
身体を整え、指先を使い、自然にふれ、心を潤す。習い事や学びによって育まれる時間。気づき、感動、出会い、わかち合い。今日のできごとをひとつずつ手にとると、日記に書きとめたくなることが増えてくる。大切なひとの笑顔で満たされる瞬間が増えていく。あなたの日々がより豊かになる「デイト」。今日を、明日を、これからをもっと自由に過ごしてほしいから。
Webstore https://date-workshop.com/