Way of Life
真野あや
広島県三次市の美しい石畳の街並みの中に佇む、古き良き日本の古民家を改修した『もちのえき』で店長を務める傍ら、自身のアクセサリーブランド『ĆANDLE』を営む、M_ブランドコミュニケーターのあやさん。彼女の現在のライフスタイルに至るまでのお話や、“田舎暮らし” から見る日本の食やこれからのファッションについての想いをお話くださいました。
あやさんの暮らしについてお伺いさせてください。
広島県三次市に5月にオープンしたばかりの餅屋『もちのえき』で店長をしながら、自身のアクセサリーブランド『ĆANDLE』を運営しています。この度より、M_のブランドコミュニケーターとしても活動させて頂くことになりました。
『もちのえき』は、建築家の谷尻誠さんがプロデュースした地域活性化のためのプロジェクトの一環の第1店舗目で、三次市の街づくりの拠点として、”駅”のようになってほしいという願いから名付けられています。
谷尻さんもご出身が三次で、以前からインスタグラムを拝見していて、ある時、勇気を出してメッセージを送り、お会いしていだけることになったんです。その際に、『もちのえき』のお話をしてくださって、働きたい人を探していると聞いたその場で「やりたいです!」と立候補し、店長を任せて頂くことになりました。
アクセサリーブランド『ĆANDLE』は、最初は自分が欲しいと思ったものを自分のために作り始めたことがきっかけで、パーツを購入したら複数は作れるので、せっかくだからとそれを販売をしたことがきっかけで8年前ほど前にスタートしました。オリジナルアイテムは、ハンドメイドなので大量生産ができないため、販売は不定期ですが、時にはイベントで販売したり、オーダー制にしたりしながら運営しています。アクセサリーを選ぶときや付けるときの高揚感が、キャンドルに火を灯す瞬間に心が温まる感覚と似ているなと思いこの名前を付けました。
Home
現在住んでいるところ、その場所にした理由などを教えてください。
広島県三次市に住んでいます。大切な家族の側に居たいという思いが強く、地元であるこの町で暮らしています。
三次市は本当に自然が豊かで、昔は栄えていた街もあったのですが、人口が減少し過疎化が進んでいるのが実情。今後も街づくりのさまざまなプロジェクトに関わり、愛する地元三次の活気を取り戻す活動に貢献していきたいと思っています。
Fashion
今 Fashionに対して感じていることを教えていただけますか?
衣食住の中の”衣”だなと感じています。
生活の基本的な要素のひとつで、より実用的ものと捉えるようになってきました。
私自身も、今までは「こういう自分になりたいから」、「こう見られたいから」と着飾って、本当の自分をそれ以上によく見せるためのものだと考えていました。
コロナでの自粛期間中に実際に手に取って見て買うことができなくなった経験から買い物に慎重になり、何が必要なのかとしっかり向き合った時間を経て、本来の自分そのものを表しているものであったり、着心地が良いものを選ぶようになりました。
ファッションは、体型や住んでいる場所や仕事も違う、その人それぞれのライフスタイルに合う”衣”を選んでいくという風に変化していくのではないかと感じています。
これから、Fashionのトレンドや、衣服の役割はどの様に変化していくと思いますか?
これからは、各々が自分のスタンダードをしっかり持って、遊び心を持たせるスパイスとしてトレンドを楽しむようになるのかなと思っています。
トレンドはその時代の背景や文化を反映するものでもあると思うので無くなることはないと思っていますが、例えばトレンドで固めようと、極端に言えば全身の上から下まで全部新しいアイテムを毎シーズン購入するという流行に流される消費ではなく、それぞれのライフスタイルに合った、「自分らしくて、丁度いい」と思える、そんな自分軸で選ぶ時代に変化するのではないかと思っています。
Food
食事について気を使っていること、心掛けていることはありますか?
基本的には、食べたいと思うものは体に必要な栄養だと考えているので、体の声に従って素直に食べるようにしています。
食材を選ぶ時には、地元の食材を選ぶようにしていますね。
よく利用するスーパーには全国で採れた野菜が置いてあるのですが、一角に、地元の農家さんたちが作った、形が不揃いの野菜コーナーがあるんです。
形が歪だったりキズが入っていたり、単に売り物にするには見た目が損なわれているというだけで安くなっていますが、新鮮で、しかも無農薬で作られているから本当に美味しくて。
わたしはそういう野菜たちが可愛くて好きで、スーパーに行ったらまずそのコーナーへ直行します。むしろそのコーナーの野菜しか見ない日もあります(笑)
本来は捨てられていたかもしれない野菜を買うということでフードロスを減らせますし、ローカル消費もできます。
『もちのえき』で食べられるお団子やおはぎは、小豆は北海道産の無農薬のものを使用。その他もほとんどが広島県産の食材で、お茶も広島北部の伝統茶はぶ草茶をはじめとした、無肥料・無農薬の在来茶です。
地元のものをなるべく地元で消費していく、どの地域でも地産地消の流れが強くなればいいなと思っています。
日本の食の安全性について感じていることを教えてください
食の安全性という観点で、日本の加工品は食品添加物が入っていないものを探す方が大変ですよね。
日本の法律上では安全とされている添加物でも、海外では使用できないものもあり、可能な限り避けたいと考えている人が増えていると思います。
でも、添加物すべてがダメという判断ではとても生きづらくなってしまうので、裏面をみて、まずは入っているものを自分で調べてみる。「これなら自分は摂っても大丈夫」「これは避けておこう」というような、食を選ぶ時も自分の軸が大切になると思います。
ひとりひとりが知識をつけて、意識を持って買い物をすることで、<売れなくなるもの><売れていくもの>が明らかに分かれていくと、必然的に企業側もそれに応えていかなくてはならなくなると思います。
そうすることで、もっと手に取りやすい価格で安全な食材が手に入る、そんな世の中に変わっていくんじゃないかなと思っています。
Past / Present / Future
この数年間で、自分の意識や関心はどの様に変化していきましたか?
コロナをきっかけに意識関心が自分の中にフォーカスするように変化し、自分はどうありたいか、何が好きでどう生きていきたいのかを真剣に考えました。
自分自身と向き合う時間を重ねた結果、ヴィジョンが明確になり人生の軸が定まって、「まずはやってみよう!」という行動力に繋がりました。
三次は言ってしまえばかなりの田舎ですが、あの時、谷尻さんにメッセージを送って、今では『もちのえき』の店長になり、ご一緒させて頂いている周りの方たちは日本でもトッププレーヤーの方々ばかり。
そして、M_のコミュニケーターに応募し、都心部に住んで居なくても、ファッションのお仕事に携わらせていただく事も出来ています。
どこにいるかというより、何をするか。
全ては本当に自分の行動次第という意識に変化しました。
そして、自分自身を再認識できたあの時間のお陰で、今のわたしがあります。
今、興味のあること、今準備をしていることはありますか?
M_コミュニケーターとして、ただファッションについて伝えるだけではなく、衣食住や生き方にも重点を置いて発信をしていきたいと思っています。
実は、コロナとタイミングを同じくして、プライベートでも辛いことが重なり、実はこれまでの人生で一番と言ってもいいくらいに深く落ち込んでしまった時期がありました。そんな時、昔からの友人や、環境が変わって新しく出会った人、会えなくてもサポートしてくれた大切な人たちのおかげで今前向きに生きることが出来ています。
今、自分の目標を持ち、日々笑って幸せに過ごせるのは、本当にたくさんの人たちとの繋がりのお陰なので、今度はわたし自身が、その時の自分のように悩んでいる人たちの手助けがしたいと思っています。
人と繋がり、人に声を掛ける機会を生むには、自分自身の発信力が大事。
発信力のある人になるには、自分自身の在り方が大切になる思うので、会いたい人に会い、行きたい場所に行き、沢山のことを吸収して自分自身を磨いていく。
M_のお洋服が好きという理由でSNSなどを見ている方にも、一人一人悩みは必ずあると思うので、自分の生き方を通して、勇気づけられるような発信をしていきたいと思っています。
これから、私たちの暮らしはどの様に変化、進化していくのでしょうか?
理想の未来のヴィジョンなどがあれば、教えていただけますか?
この数年で生活様式は大きく変化したと思いますが、悪い事ばかりだけではなくて、制限が生まれたからこその自由も生まれたと思っています。
特に物理的な場所の制約に縛られることが少なくなり、例えば、アパレルの会社で働きたかったら東京に住んで居なければいけないとか、当たり前だと思っていたことが、当たり前では無くなりましたよね。
私自身も広島に住んでいながら、M_のブランドコミュニケーターとして活動することができるように、ライフスタイルを自分次第で選べる時代に変化したんだと感じています。
自分が信じるものの為に、皆が自分の意思で生きていく。
そして、そのさまざまなライフスタイルを尊重して、多様性溢れる優しい世界になることが理想の未来です。
Style
着ていて自分らしいと思えるもの、そして、自分のワードローブと組み合わせやすいものを選ばせていただきました。
REMOVABLE DRESS CORTは胸の切り替え部分を取り外すことができ、ショートジャケットにもスカートにもなる3wayで、通年通して着回せるアイテムなのが嬉しいです。
地球を思いやる明確なコンセプトに基づいたものづくりには、今までのファッションの概念を根本から変えてくれる可能性を感じています。
M_のお洋服を選ぶことで、ライフスタイルに自分らしくサスティナブルを取り入れることを後押ししてくれるブランドだと思います。
Aya Shinno
真野あや
M_ brand communicator。広島県三次市在住。
建築家・谷尻誠がプロデュースした、まちづくりの拠点となる餅屋「もちのえき」の店長を務める。
自身でアクセサリーブランド「ĆANDLE」を経営。
Instagram https://www.instagram.com/shinnoaya_/